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時に思う
この景色は私が望んだ景色かと
自由とはどこにでもあるようで
いつも選べなくて

眼下に広がる光は
いつまでも
そこにあるようで
まばたきを何度かすると
何処かへ消えて行ってしまいそうで

永遠があったとして
永遠に何を求めるのか
永遠がなかったとして
それを確かめる術は何処に

いつしか景色の渦に
飲み込まれ飲み込まれ
朽ち果てていくのは
私の方かそれとも景色の方か
大空に向かって伸びゆくいのちは
ときに臆病ないのち
少しわがままなくらいでいい
のびのびと生きてゆけ

宮澤賢治の理想のように
自分を勘定に入れないのは
美しいことだけれど
それは大人になって
分別がついてからでいいだろう
一瞬たりとも無駄な時間はない
なんてことは明日考えればいい

完成など求めても
生きている限り未完成
だから明日も生きてゆく
今日も明日も
少しわがままなくらい
のびのびと生きてゆけ


理想卿が死んだ
大いなる静寂とともに
微かな憧憬もいまはもう
消え残る泡沫

かつて理想卿は闘った
偽善だとか純粋だとか言われる
螺旋の渦の中で
世の中に悪い人などいないと信じ

そして理想卿は歩いた
したり顔や冷めた眼の輩の
往来の激しい通りを
真実をどこかにあると信じ求めて

理想卿は死んだ
永遠の死を死んだ
大いなる静寂に死んだ

果てしがないものに憧れた
今も果てしがないものに惹かれている
どこまでも深い空
いつまでもわからないあの人の心

熱病に冒されたように
書くのならいい
うつろなことばの浪費に
なんの意味があるのだと
冷めてしまうこともある

だから今書こう
聞く人のいない場所では音は存在しないという
脳裏に浮かんで消える旋律も
束の間の熱情も
やがては亡霊となり朽ち果てる
今こそ書こう
言葉を奪われないうちに
思いが風化するその前に
言葉はけして言い尽くされやしないから



雪よやさしく覆いつくせ
ありとあるものを

やがて訪れる
別れのやるせなさを

ひきずるように
幼子の手を引く母の
緩やかな苦しみを

陽射が春を告げようと
希望を失いし人には
きっと徹夜明けの眩しさ

だから
雪よやさしく覆いつくせ
ありとあるものを

雪よやさしく覆いつくせ










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